ユングの心理機能とは?16タイプ分類を理解する上で必要な知識

ユングは性格タイプ論において、人間が本来生まれ持っている心理機能が、その人の性格(タイプ)を特徴づけると発表しました。これは、人間の内面的な心理機能(性格)を8つに分類して、個々の特徴を理解するといった、世界中で最も利用されている性格診断です。
この記事では、ユング心理機能について、わかりやすく解説していきます。

ユング心理機能とは?

始めに「ユング」とは、フロイトとアドラーと同様に、心理学における三大巨匠の一人です。さらに、臨床心理学の三大理論を指すならば、真っ先に【フロイトの精神分析学】【ロジャースの来談者中心療法】そして【ユングの分析心理学】と言われるほどです。

このユングが提唱した「分析心理学」という独創的な理念が、現在のMBTIの根幹を支えているといっても過言ではありません。

ところで、ユングは、人間には「外向(extravert)・内向(introvert)といった異なる2つの心理機能を考えました。これは、性格が外向的または内向的かという意味ではなく、心に秘めた力が外に向くか、あるいは内に向くかという理念です。

外向的心理機能と内向的心理機能について

外向的な心理機能とは、物事の関心事が外側の事柄や人に対して向けられ、それらの関わりや拠り所によって特徴づけられることを「外向的心理機能と言います。

他方、その人の関心事が「内面(生命の奥底)」を主観とする場合、それを「内向的心理機能」と呼んでいます。

もっとも、外向的な心理機能の人は、社交的で対人関係もよく、多種多様な外的な事柄にも関心を示すタイプとされ、さらに客観的な視点に基づいて生活をしています。また、非常に活動的で、周囲の人々にも大きな刺激を与えます。

一方、内向的な心理機能の人は、深く馴染み親しんだ領域外での付き合いには苦手意識を持っています。その代わり、本当に興味のある限定されたことに対しては継続して向上を目指していけます。

4つの心の基本機能について

前述の「内向的心理機能」と「外向的心理機能」は、「心に何等かの刺激を感じた時に、心がどのような働き方をするのか」というユングの理念です。さらに【感覚】【直感】【思考】【感情】の4つの心の働きを分類させて「基本機能」として捉えています。

ユング分析心理学では、全ての人々は、この4つの心理機能を兼ね備えているとしています。これら各々の中で、どの心理機能が強く出てるかによって、その人が元来持つ「本当の性格タイプ=主機能」を判断しています。
それでは以下より、4つの基本機能を具体的にみてみましょう。

感覚について

感覚は、五感で感じ取った出来事について、心の動き方や感じ方を明白に受け入れます。
(※なお、ここでいう五感というのは、「視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚」によって感じ取ることをいいます)

感覚タイプの人は、これら五感によって感じたものを具体的に捉えます。ありのままの情報を詳細に受け取り、洞察することに力を注ぎます。
また、感覚タイプの人は、困難な問題に直面した時に、その善悪よりも「いかに良い方向へ改善していくか」を考える人です。さらに、自らの前で、物事が

厳格にかつ連続的に進行することを好み、五感に従って情報収集する人です。こうした現実的な捉え方ができるのも感覚機能の人の特徴といえます。です。
ただし、感覚タイプの人は、目の前で起こった事実と具体的な詳細にこだわるあまり、それがどういった意味であるのかは考えない人もいることでしょう。

なお、感覚が主機能の人は、安定した思考を持つ反面、創造性ある自由な発想空間を苦手と感じる人もいるようです。

直感について

直感は、物事の背景にある意図や全体像を捉えた機能です。
直感タイプの人は、抽象的で理論的なひらめきが浮かぶ人で、目の前で起きている事柄を通じて、誰もが創造もつかないようなアイデアが沸き起こります。また、実際にそうした事柄に対して、非常に興味があるタイプです。

一方で、個々の事柄を注意深く掘り下げて観察したり、具体的な分析や調査を得ることは苦手です。そのため、場合によっては非現実的で的外れな発想をすることもあります。

こうした、直感タイプの人は、目新しい企画に参加したり、未知のものへの挑戦といった「リアルな変化」をもたらすことに向いています。
なお、直感が主機能の人は、斬新なアイデアが生まれる反面、現実にほど遠い思考を発する場合もあります。

思考について

思考は、難題への判断や物事への決断基準が合理的でありかつ客観的な人です。他者の意見に動じず、鋭い分析力をもって物事を効率的に進めることができます。

また、客観的な視点から物事を捉え、他者の矛盾した計画や欠陥点を迅速に見つけ出すことができます。なお、他者の分析や推論から正しいと感じた結論には真摯に従う人です。

それゆえ、悪を排して正義と確実さを求めて自らを律することができるため、他者からは「頑固者」と言われるようです。

また、客観的な正確さを求めるあまり、思考タイプの率直すぎる意見に対して礼儀知らずと捉えられてしまう場合もあります。

なお、思考が主機能の人は、鋭い分析力を有効に活用できる場所があるならば、有能な思考タイプの力が発揮できることでしょう。

感情について

感情タイプは、主観的な立場から、人間関係の影響を受けやすい傾向があります。非常に豊かな感性を持ち、情け深く、協調性に優れ、温かく美しいものに心が惹かれます。

例えば、美しい音楽や絵画・移りゆく自然の姿・文学作品などに心が熱くなることでしょう。

他者の心に最大限に配慮でき、他者の痛みに共感する人です。現実に、涙にむせぶ人をほっとけず、温かい励ましを届けようと動くのも感情タイプの人です。

なお、苦しみや怒り・悲しみといった否定的な心の動きのものから、感謝・喜び・愛といった肯定的なものまで、この感情タイプには強烈に感じます。ただし、こうした肯定的な気持ちを内に秘めたまま、他者の心に同調し、幸せや愛を共有したいと考える人です。

なお、感情が主機能の人は、温かみを活かし、他者の痛みを共有できることに向いているでしょう。